大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和37年(う)1168号 判決

被告人 大川光弘

〔抄 録〕

所論は、原判決は被告人が判示猟銃一二挺を譲受けて不正の行為により右一二挺に関する関税及び物品税を免れたものと認定したが、右一二挺の中イタリヤ製フランキー四挺は被告人から寺田嘉平の手に渡つた後、寺田の依頼により真具義昭において通関手続を採り関税及び物品税を納めたのであるから、右四挺については当然逋脱罪が成立しないに拘らず、一二挺全部につき犯罪の成立を認めたのは違法であるとの趣旨と見られる。成程証人真具義昭、同寺田嘉平等の証言によれば、被告人がビツグストンから買受けた約三カ月後右猟銃一二挺の中の四挺を、被告人からこれを買受けた寺田嘉平が真具義昭に依頼し同人の手により納税手続を了したことが認め得られる。然しながら本件逋脱罪は、被告人が駐留米軍人ビツグストンから昭和三五年五月初頃税関の許可を受けないで本件猟銃一二挺を譲受けた時に成立し、たとえその後三ケ月を経てこれを更に被告人から譲受けた他人の手により納税手続が採られたとしても、本件逋脱罪の成否に何等消長を及ぼす筋合ではないから、弁護人の右所論は採用に値しない。

(尾後貫 鈴木 飯守)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!